岡野の視点

問題は、離婚で悩む人が増え続けていること

離婚に至る人は1年間で38万人。悩んでいる人はその5倍、つまり190万人におよぶことになります

厚生労働省の統計では2020年の離婚は約19万組(*1)、これを人数に換算すると38万人です。
岡野あつこの離婚カウンセラーとしての30年を総括すると、離婚相談に来る方のうち、最終的に離婚となったのは少なくとも20%(*2)、つまり5分の1の割合です。
日本の離婚数は2002年に過去最高となり、2007年に施行された年金分割制度で熟年離婚数が増大すると予測されましたが、実は一時減少。理由は熟年層は分ける財産も多く、時間も要したからなのです。岡野あつこが離婚カウンセラー養成スクールを開始したのが2001年、以降、相談件数は増え続けました。その一方で、非婚・晩婚による結婚件数の減少がおこり、離婚件数も減少。ただし、結婚3組に対し1組の離婚という割合はずっと変わっていません。背景に2000年の弁護士の広告解禁の効果もあり法律事務所への相談は増大、岡野への離婚カウンセラー需要も増えています。問題は離婚件数ではなく「悩む人の数」なのです。

コロナ禍、「本物力」が問われる時代

コロナ禍で岡野に寄せられる離婚相談は40%増、弁護士事務所も調査事務所も相談が増加傾向です。
かつて、離婚相談はめんどうくさく、感情に左右される非ロジカルなものと敬遠されていました。しかし徐々に、離婚に特化する法律事務所やカウンセラー、探偵事務所が増えています。一方で、クライアントのなかには、辛くて苦しいがゆえに平常心で判断がつかず、上手に状況や本心が語れない、結果、何が最善の道なのか引き出してもらえずに、解決から遠ざかってしまっている方も多いのです。
このストレスフルな時代では、本物力=唯一無二の顧客満足が問われています。正解がないからこそ、いく通りもの方法から最良の形を示唆できる実力をもち、ワンストップサービスでスピーディーに確実に成果を目指せるプロの集団こそが、期待に応えることができるのです。

心に寄り添う仕事は、AIが勝てないフィールド

AI(人工知能)時代に突入した現在、各分野でレボリューションが始まっています。中心となっているのはビッグデータを活用したシステムです。AIが多様で複雑なタスクを短時間で正確にこなし、一部アートりょうがに至るまで人間の作業を次々と凌駕しています。いずれ意識の移植や理解が可能になり、話し相手にもなる「強い人工知能」の登場もあり得るといわれていますが、まだまだその段階ではありません。現実的に、AIが仕事を代替できるのは、ノウハウをデータに置き換えることができる業務の範囲です。
悩んでいる方の複雑な心を理解して、最適なアドバイスをする能力は、専門家の頭の中にある叡智しかありません。離婚問題に際して、各専門家がそれぞれの分野の特性にカウンセリングスキルをプラスすることで、まさにAIが活躍できない分野となり、今後ますます価値ある仕事となります。

本人同士の話し合いのみか?弁護士介在か?将来が大きく変わってきます

日米比較で見えるもの

岡野は大学院の修士研究から今日まで夫婦問題の調査を続けています。
顕著なのは日米比較、ほとんどが夫婦同士の話し合いで終わる日本に比べ、米国では圧倒的に裁判離婚が選択されています。専門家である弁護士を入れて詳細をあらゆる方面で存分に検討し、決定を守らない場合の罰則を含めた書面で裁判所で正式に決定。そのプロセスを踏むことでルールが明快になり、年月を経ても守られます。結果、トラウマや後悔などがファミリーに残ることを防ぎ、お互いの家族との自由な行き来も可能になっています。

修復が困難なら調停・裁判を。「幸せな人生」のために

日本の離婚の割合は、協議離婚88%、調停・裁判離婚12%(*3)です。
調停・裁判が徐々に増えてきているものの、法律の専門家にコンタクトをするステップに躊躇をする方が多いのが現状で、大きな課題です。
「よろこびがあって、悲しみがあって、そのうえでの幸せ」、これが岡野のカウンセリングの根底にある価値観です。クライアントの方にとって最良の解決を導くには、理念を共有する専門家との連携が必須です。

離婚のプロセスのアウトライン

夫婦の間の話し合いのみで離婚を成立させる「協議離婚」、この形が日本で大部分を占めています。
手続きが簡単というメリットはありますが、離婚後に問題発生の可能性を多く含んでいます。
協議離婚成立の前に、当人同士の協議では合意に至らないと認識した場合、家庭裁判所を介在させる「調停離婚」に進みます。離婚を「する/しない」だけでなく、離婚後の子どもの親権者の決定、親権者とならない親の場合の子との面会交流、養育費、財産分与、また、慰謝料などについて話し合って決定していきます。その流れは一般的には、調停→離婚訴訟と、より厳密な合意に向かって進みます。この離婚訴訟によるものが「裁判離婚」です。日本では、「裁判離婚」の割合は少なく、圧倒的に多いのは「協議離婚」です。